JRIN Group
2021年にみられた居住用不動産市場の変化
更新日:2022年2月8日
弊社はJRINとの協力関係を築き始められたことを大変光栄に思います。これを機に、日露関係の強化に全力で貢献したいと考えております。
弊社は2008年からモスクワを拠点とするエリートクラスの不動産会社、Apple Real Estateです。私達は定期的にパートナー企業専用に不動産関係の分析レポートやプレゼンテーションを作成し、最新の情報の配信を行っております。本日は、物件を選ぶ際・家賃の予算を計算する際に役に立つ、2021年にみられた居住用不動産市場の変化について解説したいと思います。
当資料は以下の3箇所のアドレスよりオンラインで読むことができます。
https://www.jrin-group.com/estate
https://www.facebook.com/JRINGROUP/posts/2775840849385302
https://www.facebook.com/groups/russia.yokoso/posts/3032149680358180/
公開日にはJRINのFacebookページにて弊社の専門家がリアルタイムで読者の質問にお答え致します。また、公開日以降には ashirbekov@applerealestate.ru でも質問を受け付けております。

1)居住用不動産の需要と供給について
居住用不動産の需要は、長年にわたって初めて供給を上回りました。2021年12月の時点で、住宅の需要はコロナ禍前の2019年より27%高く、2020年に比べると約2倍になりました。さらに、Apple Real Estate の不動産専門家によると、モスクワの賃貸住宅の供給は約50%も減少し、その影響で賃貸住宅の数も大幅に減少しました。また、弊社の評価では1部屋の物件は居住用不動産市場全体の30%を占め、2部屋の物件は37%、3部屋の物件は25%、そして、家族連れの海外エクスパットに人気なマルチルームの物件は全体のわずか3%ほどしか存在しません。安価でアクセスの良い高品質な物件は入居者の間で人気があるため、不動産市場に出回ってすぐに貸し出されてしまいます。また、賃貸住宅の需要が高い今、テナントの多くは一度手に入れた賃貸住宅を手放さないため、一度貸し出された高品質な賃貸物件は二度と市場に戻らないケースも多発しております。上記の理由により、居住用不動産の価格は全体的に上昇しました。アパートメント及びフラットの価格は2021年に平均20%上昇し、今年は少なくともインフレ率分(7-9%)の価格の上昇が予想されます。また、今年の居住用不動産の価格は供給量の変化にも大きく左右される見込みです。この傾向は予測だけでなく、弊社の実例でもすでに記録されています。
2)イミグレーション登録についての最新情報
モスクワの居住用物件は大きく3種類に分けることができます。住居としての法的地位を持つ物件(以下≪フラット≫という)、非居住施設の法的地位を持つ物件、そしてホテルタイプの物件(どちらも以下≪アパートメント≫という)の三種類です。そして、海外エクスパットにとってモスクワで住居を探す際に大切なのはその住所にイミグレーション登録をすることです。非居住用物件のアパートメントは法律的に住居として取り扱われず、登録をすることができませんのでご注意ください。
今現在、海外エクスパットが合法的にアパートメントに住む方法は二つあります。なお、アパートメントのタイプについては物件のオーナーに確認する必要があります。
賃貸人及び賃借人の両方が個人であり、物件はホテルタイプのアパートメントである場合、イミグレーション登録は可能です。
賃貸人が個人、賃借人が法人である場合(例えば、エクスパットの勤務先の会社など)には、賃借人である会社側が物件に住むエクスパットをイミグレーション登録をする必要があります(ケースによっては出来ない可能性もありますので、事前に確認する必要があります)。
3)行政審査及び罰金について
モスクワでは今年より不動産の行政審査員によってアパートメント建設の合法性がチェックされることになりました。最近は、多くの非合法的なアパートメントのオーナーが賃貸契約に反して住居建設を行っております。そのようにして建てられたマンションは違法建築物として分類され、オーナーは法律違反者として起訴される可能性があります。今年中には約600軒もの建物の審査が行われる予定で、万が一違反する点が発見された場合、オーナーにはマンション1平方メートルあたりの値段の2%以下の罰金が科せられます。
行政審査で違反報告があった場合、アパートメントのオーナーだけでなく、居住者にも罰金が科せられる可能性があります。
例えば、オフィス向けの建物が居住用の物件として貸し出されている場合、個人オーナーへの罰金は1500-2000ルーブル、法人オーナーへの罰金は200000-400000ルーブル。
住所登録せずに在住、または期限切れの書類を用いて在住している場合、居住者側への罰金は2000-4000ルーブル。このような行為は行政法違反としてみなされます。海外からお越しのロシア在住者は3度法律違反を繰り返すと強制帰国になります。
注意点* 最近はアパートメントに在住するエクスパットのイミグレーション登録の際にアパートメントのオーナーは在住先の住所をアパートメントのものではなく、オーナー自身の住むフラットのものを登録するケースが多発しております。そのような事態が審査によって明らかになった場合、オーナーと居住者だけでなくエクスパットの勤務先の会社にまで罰金が科せられますのでご注意ください。
会社向けの罰金
エクスパットの雇い主である会社がイミグレーション登録に関する職務を遂行しない場合、40万から50万ルーブルの罰金が科せられます。
社員を海外に招待する会社は、社員のイミグレーション登録を行うことを義務付けるか、もしくはそれが会社の職務ではない場合、イミグレーション登録証をお持ちでない社員を海外に就労者として派遣してはいけません。以上の原則に違反した場合にも罰金が科せられます。
4 ) 今年の賃貸住宅市場で供給が上昇する見込みはあるか。
2020年・2021年の新築物件の買取ブームで不動産市場が活性化したため、2022年にはその物件が賃貸用住宅として不動産市場に出回る事が期待されています。その影響で賃貸物件の数が少しずつ増え、バラエティーも豊かになることが予測されています。そのうちの何軒がアパートメントなのか、正式な統計は保持されていません。ですが、«Дом.РФ» (≪Dom.rf≫ - ロシアの居住用不動産に関する国立ウェブサイト)の評価によると、2020年末にはロシア全土に建てられているアパートメントの総合面積は500万から700万平方メートルでした。そのうちの約半分はモスクワ市内のアパートメントであり、その数は約150軒です。建物のオーナーからすると、フラットを建設するのに不可欠な周囲のインフラ(幼稚園、病院など)の存在が必要とされないアパートメントを建設する方が法律上より簡単ですので、今後はアパートメント住宅の数が増える見込みがあります。
5)最後に、物件を選ぶ際のいくつかのアドバイス。
海外エクスパットの家賃の予算を計算する際には、今現在不動産市場でみられる家賃の急上昇を考慮する必要があります。
現在有効な家賃の予算
エクスパットのみ | 100 000 – 120 000 ルーブル |
エクスパット+妻(+子供1人) | 120 000 – 160 000 ルーブル |
エクスパット+妻+子供2人 | 160 000 – 200 000 ルーブル |
エクスパット+妻+子供3人 | 200 000 – 300 000 ルーブル |
単身赴任の海外エクスパットは多くのオーナーにとって最も望ましい住民です。また、エクスパットからしても上記の予算で理想の住宅を見つけられる可能性は他のケースを遥かに上回ります。物件を探す上で1番苦労するのが数名のお子様を連れた家族です。ほとんどの場合、3部屋以上あり、アクセスが便利なモスクワ中心部に位置し、子供を許可する物件が必要となります。このような条件に合う物件は最近の不動産市場にはほとんど残っていません。なので、大人数家族で暮らす場合には少ないバリエーションの物件の中から選択し、素早く決断しなくてはなりません。
インターネットなどの広告をみると安い物件がたくさんみられますが、そのうちのほとんどは海外エクスパットの期待するような出来ではなく、配管や電化製品、家具や建物自身が古すぎたり、リフォームが長年行われていない物件ですのでご注意ください。
見た目が綺麗な物件でも、長期間広告に出されている場合には外見以外により深刻な問題がある可能性があります。
稀に、賃貸期間中にオーナーが家賃を10〜15%上昇しようとするケースがみられますが、不動産の需要が上昇している現在、新しい物件を探すよりこのような条件を受け入れた方が殆どの場合、お得になりますのでご了承ください。
住宅を探す際、必ず物件のタイプ(フラット、アパートメント)についてオーナー又は不動産エージェントに確認してください。
この資料はアップルリアルエステートにより作成されました。
大変お忙しい中、本資料をお読みいただき誠にありがとうございました。
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